第7回映画のまち調布賞 受賞者発表
この賞は、主に映画製作の現場を支える技術者や制作会社といった「映画のつくり手」に贈る賞です。
映画・映像関連企業の集積する「映画のまち調布」にふさわしい映画賞として、映画文化、芸術、産業の振興に寄与した映画・映像作品及びその製作に貢献した者を顕彰します。
【技術部門各賞】 撮影賞、照明賞、録音賞、美術賞、編集賞
受賞対象:映画製作の現場を支える種々の技術者
選考方法:第7回日本映画人気投票によって選出された「映画のまち調布 シネマフェスティバル2025」で上映可能な上位10 作品の実写映画をノミネート作品とし、各賞、映画製作において功績のある映画技術スタッフ等で構成する選考委員会で討議の上、受賞者を決定する。
ノミネート作品:『ゴジラ-1.0』、『ミステリと言う勿れ』、『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』、『カラオケ行こ!』、『ゴールデンカムイ』、『キングダム 大将軍の帰還』、『福田村事件』、『沈黙の艦隊』、『こんにちは、母さん』
選考委員
〇撮影賞:岩倉具輝、酒井隆史、磯貝昇利、野口健司
〇照明賞:西野哲雄、長嶋建人、祷 宮信、野口益登、戸田将弘
〇録音賞:志満順一、小野寺修、伊藤進一、山本逸美、山本仁志
〇美術賞:竹内公一、安藤 篤、花谷秀文、鈴木隆之
〇編集賞:宮澤誠一、鵜飼邦彦、日下部元孝、川島章正
【作品賞】
選考方法:第7回日本映画人気投票最上位作品とする。
【特別賞】
受賞対象:「映画のまち調布」の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した個人若しくは団体又は近年にめざましい活躍をした映画・映像関係者
選考方法:調布市内の映画・映像企業等で構成する選考委員会で討議の上、受賞者を決定する。
〇協力 協同組合日本映画撮影監督協会/協同組合日本映画・テレビ照明協会/協同組合日本映画・テレビ美術監督協会/協同組合日本映画・テレビ編集協会/日本映画・テレビ録音協会(五十音順)
〇審査試写会場提供 株式会社角川大映スタジオ
審査総評
総数13,695票の投票をもとに候補作を選び、選考委員の活発な議論を通して各賞を無事決定することができた。
今回の特徴は、作品賞『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』、実写1位『ゴジラ-1.0」という<調布>ゆかりの作品が上位を占めたことである。前者は、名誉市民、水木しげる原作のアニメーション。後者は市内にスタジオを構える白組の山崎貴監督作品。第96回アカデミー賞®視覚効果賞の受賞は大きな話題を呼び、「映画のまち」にとっても嬉しい快挙となった。撮影・照明賞の『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』、美術賞の『福田村事件』も調布ならではのセレクションである。
(実行委員長 佐伯知紀)
作品賞:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
©映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会
【古賀豪監督からの受賞コメント】
水木しげる先生が愛された調布のまち、その市民の皆様からの投票により今回本作が選ばれましたこと、スタッフキャスト一同、何より嬉しく、ありがたく思っております。今後も歴史あるこのまちの歴史文化の一部として、本作を記憶して頂ければ幸いです。
撮影賞:小林拓『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
【選定理由】
全体に安定した構図で説得力のある画ができていた。セットと俳優の演技をしっかりとらえており、重要なシーンである花畑の場面では、昼と夜の雰囲気の違いを巧みに見せて、観客の心を揺さぶった。ライティングとの連携も良く、また空襲シーンには切迫感があった。現代から戦時下へのタイムスリップという、ファンタジックなストーリーをカメラマンの確かな技術で支え、作品の完成度を高めている。
【受賞コメント】
身に余る賞をいただき大変光栄です。
撮影部、特機部、カラリストをはじめとする全てのスタッフ、そしてなにより家族の支え無しには戴けなかった評価だと思います。
この映画が、後世まで人の心を打つ作品となることを願っています。
【経歴】
㈱三和映材社にて研修後、撮影助手として主に映画やCMの現場に参加。映画『658km、陽子の旅』でカメラマンとして初の劇映画を担当。NHK特集ドラマ『二十四の瞳』にてMPTE AWARD2023 第76回映像技術賞 撮影賞受賞。
主な作品:『658km、陽子の旅』『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』『ゼンブ・オブ・トーキョー』
小林さんにインタビュー!
Q. 作品の見どころ
現代の価値観と当時の価値観が交錯する内容は、若者だけでなく、どの世代にも「自分だったらどう感じるか」を思い起こさせる大切なテーマだと思いました。誰しもが戦争を望んでいないはずなのに相容れない、そのコントラストを画として表現することが、自分に求められた役割だと考えながら、1ショットずつ紡いでいきました。
Q. 心がけていたこと
原作は若い世代を中心に話題となった作品でしたが、映画としてこの先何十年と多くの人にとって大切な作品となるためには、若者だけでなく戦争を経験した年配の方々に至るまでの全ての世代に観ていただくことが望ましいと考えていました。その瞬間を演じる俳優たちの表情や一挙手一投足が一番伝わるカメラポジションを見つけ、丁寧に撮影していきました。
Q. 撮影監督とはどのようなお仕事ですか?
作品や監督が思い描く意図を適切に表現し、各部署の成果を余すことなく描写し、観客が没入できる画作りをすることかと思います。
鑑賞中に撮影の良し悪しが気にならないくらい、作品に馴染んでいるのが理想です。
Q. 撮影監督を志したきっかけを教えてください
初めは漠然と監督に興味があったのですが、いつからか芝居を最前線で見られるカメラマンに興味が移りました。
俳優部の素晴らしい芝居を自分が一番適していると思うサイズや角度、背景、ライティングで見たいのかもしれません。
Q. 撮影監督の魅力と苦労を教えてください
魅力は先の質問の回答と重複しますが、やはり最前線で芝居を見られることだと思います。
苦労は自分が取捨選択した画作りが作品にとって適切だったかを自問自答し続けることですが、その前にいちスタッフとして映画界の労働環境そのものに苦労しています。
Q. 撮影監督にはどのような人が向いていると思いますか?
人に感謝し、敬い、協力できる、一般的な常識を持っている人でしたら誰でもなれると思います。
技術は学べば身に付きますし、感性や芸術性は技術の先にあるものだと考えています。
Q. お仕事をする上で大切にしていることを教えてください
いつも不安に苛まれていますが、撮影現場ではその素振りを見せず、自分の狙いを、自信を持って伝えることです。
その上でいつも自分を助けてくれる撮影部や特機部を信頼し、彼らを大いに頼ることです。
Q. あなたにとって映画撮影とは?
自分の子供に自信を持って誇れる、大切な仕事です。
Q. 調布といえば?
妻の実家が深大寺地区なので、毎年お正月は家族でお参りに行く所縁のある場所です。
深大寺へ向かう道中、門口にたくさんの置物などが飾られている民家があり、その中に置かれている小さなおもちゃのお賽銭箱に毎年コインを1枚いれるのが恒例行事になっています。
Q.映画業界を目指す人へメッセージ
近年、映画業界では労働環境の悪化やジェンダー格差、様々なハラスメントの横行といった問題が表面化しており、決して誉められた業界であるとは言えません。この世界に一歩足を踏み入れた時からそういった環境を感じ取ってきましたが、同じく昔から違和感を抱いていた諸先輩方や自分達の世代が是正を目指し、少しずつですが改善するために動いています。
今まさに映画業界で働きたいと思っている学生のみなさんや、将来映画業界を目指すかもしれない子供たちが安心して飛び込んで来られる環境を、微力ながら少しでも良くして待っていたいと思っています。
自分に務まるのか不安でいっぱいかもしれませんが、周りには助けてくれる人たちが必ずいますし、実際そういう人たちに支えられたからこそ私は今ここにいることができています。ぜひチャレンジしてください。現場で会えることを楽しみにしています
照明賞:岸本秀一『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
【選定理由】
恋愛映画らしいやわらかな照明で物語に感情移入しやすかった。鶴屋食堂のシーンにおいては店内に差し込む光の角度や色温度、曇りガラス越しの柔らかな光によって時間経過や演者の心情が上手く表現されていた。夜の花畑の場面では百合の白色に月光の青みが入っており、特攻出撃前の寂しさをよく表現している。また、人物に対するライティングも秀逸で表情が豊かに映し出されており、全体を通して、明暗のバランスが絶妙、それぞれの場面の雰囲気を巧みにつくり出していた。
【受賞コメント】
この作品で、チームを組んでくれた、渡部さん、宮原さん、横尾さん、中川さん、福田さん、西尾さん、鈴木さん、寺田さんに感謝いたします。本当にありがとうございました。私にとっては3本目の映画です。まだまだ未熟で、現場では相当無理難題を言ってしまったと思います。それでもこうして、たくさんの人に観ていただいたことが、何よりも「幸せの味です」。
【経歴】
1995年照明技師デビュー TVCM中心に活動
主な作品:『娼年』『光を追いかけて』
岸本さんにインタビュー!
Q. 受賞作品はどんな印象の作品でしたか?
戦争の時代の、「生き方の違和感とやさしさ」に百合を通して、現在の今を生きている人が、触れることができる作品。
改めて、今、世界で起こっていることを考えて、そこで生きている「人の想いを想像」することができる作品です。
Q. 記憶に残っている場面や制作秘話
予告にも使われている、百合が警官に向かって「戦争に意味があるんですか」 「どんな意味があるか言ってみてよ」の場面です。現場で見ていてもあの福原さんと津田さんの、その場の空気を全部吸い込むような芝居に鳥肌が立ちました。
Q. 苦労した点
ナイトシーンは、戦争真っただ中の話なので、最小限のライトでリアルに感じるライティングに苦労しました。
Q. 照明技師とはどのようなお仕事ですか?
どんな仕事も同じかもしれませんが、照明は実は繊細なことも多く、こだわるとキリがない仕事です。だから、面白いし、やりがいもあるし、悔しい想いもします。
そんないろいろな想いで創った光の中で、役者が演技をして、映画に仕上がります。それを見たお客さんに、いろいろなことを感じてもらう、とてもやりがいのある仕事です。
Q.照明技師を志したきっかけを教えてください
私はもともと照明という仕事を知りませんでした。知人の紹介で何となく始めた助手時代は、一緒に頑張った仲間との出会いや、厳しい先輩との出会いもありました。照明の事だけでなく人として、たくさんの事に気づかせてくれた師匠との出会い。「出会い、ご縁」がすべての始まりです。
Q. 照明技師の魅力と苦労を教えてください
「現場」が魅力だと思います。照明をこだわればこだわるほどキリがなく、役者の集中を切らさないようにしながら、撮影する寸前まで、修正をしています。そんなギリギリの中、たくさんの人がぶつかったり、想いを感じたりしながら撮影する「現場」が、魅力であり苦労でもあると思います。
Q. 照明技師にはどのような人が向いていると思いますか?
自分の思うもの(好きなもの)が、ちゃんとあって、それを示せて、それが違うとなった時もそれに対応して、また次の時に自分の思うものをちゃんと示せる人ではないでしょうか。
Q. お仕事をする上で大切にしていることを教えてください
バランス感覚を大切にしています。たくさんの人が、いろんな想いを持って現場に来ます。その想いに影響を受けて、どんどん良い方向に変化し、成長していくことです。
Q. あなたにとって映画照明とは?
映画は、映像関係者(スタッフ、キャスト、お客さんに観てもらうまでに関わる全ての人)全員で作る総合エンタメだと思います。今回の映画でも、そんなたくさんの人の仕事、想いを見せていただきました。それを引き立て、輝かせる光を提供して、映画そのものが輝く。
映画照明は、そんな仕事だと思います。
Q. 調布といえば?
私は調布在住なので、イオンシネマ シアタス調布が出来て、めちゃうれしいです。
最近は、奥さんと夫婦割で映画を見て、半券サービスでビールを飲んでいます。
Q.映画業界を目指す人へメッセージ
「生きる力」
一人でも多くの人に観ていただける映画を作って下さい。一人でも多くの人とかかわる映画を作って下さい。
そして良い評価も、悪い評価も、それを全部、モチベーションにして、楽しんで、感動して「生きる力」にして下さい。
映画の中で、百合が強く、素敵になったように、僕も「あの花」で少し「生きる力」を強くしていただけた気がします。
録音賞:竹内久史『ゴジラ-1.0』
【選定理由】
囁くような小さな台詞から大きな破壊音までひとつひとつの音が丁寧に処理され、強弱もバランスよくコントロールされていた。とくにセリフのレベルが安定している。バラック小屋と銀座を歩く足音の違い、電車の走行音など終戦直後を表した効果音、伊福部昭の楽曲を再構成しタイミング良く使用した音楽を含め、全体のレベルの高さが際立っていた。低音に重きを置いた、重厚感ある音作りはゴジラという存在に迫力を与え、音の力でも観客を魅了した。
【受賞コメント】
このようなすばらしい賞を受賞させていただき大変光栄です。映画のまち調布でたくさんの方に見ていただけて本当にうれしいです。
このゴジラ-1.0という作品はラージフォーマットを製作し、さまざまな音のフォーマットで楽しんでいただけるように1つ1つMixし、作品の音に大きくフォーカスしていただくことができました。
この音作りは私だけではなく、一緒に制作に従事していただいた音響チーム全員の力です。
これに満足することなく、またこの素晴らしい賞を受賞できるように精進して参りたいと思います。ありがとうございました。
【経歴】
1978年生、東京都出身。
第47回 日本アカデミー賞最優秀録音賞
第71回 MPSE Golden Reel Award 外国語映画音響賞
第77回 MPTE 日本映画テレビ技術協会 経済産業大臣大賞
第21回 日本映画テレビ録音協会 録音賞
主な作品:『ゴジラ-1.0』『ゴーストブック おばけずかん』『ちょっと思い出しただけ』『ライアー×ライアー』
竹内さんにインタビュー!
Q. 力を入れたシーンは?
海神作戦で流れるあのメインテーマ音楽の始まりの部分、ボリューム感のMixには力が入りました。
Q. 作品の制作秘話
銀座のシーンのガヤ(逃げている人たちの声)をエキストラさんに協力していただき録音したとき、まだこの作品がゴジラだと知らされていない状況で参加されていて、でもうすうす気づいてる方もいらっしゃって、自ら“ゴジラだ!!”というフレーズを叫ばれたとき、思わず笑ってしまいました。
Q.苦労した点
主人公たちが新生丸という船でゴジラとチェースするシーン。本当に洋上に出てロケしました。
全てワイヤレスで構成しなくてはならない録音はかなりテクニカルな内容で苦労しましたが、私の録音技術の上でとてもいい経験になりました。
Q.心がけていたこと
戦後まもない日本という時代背景に合うよう、できるかぎり存在する場所や物の音を全国各地へ行き録音し、音としてのリアルを表現しました。監督とテーマに掲げた音の体感型と没入感を感じれたと思います。
Q. 録音技師とはどのようなお仕事ですか?
主に現場の台詞や現場の環境音、音ロケでの音をあまねく録っていく仕事です。
Q. 録音技師を志したきっかけを教えてください
漠然となのですが昔からさまざまな音に興味があり、音をいろいろなマイクで録音してみたい、というのがキッカケでした。そこから声優さんのアフレコや映画の現場に参加させていただくことができ、自分もこの仕事で音に関してもっと突き詰めたいと思いました。
Q. 録音技師の魅力と苦労を教えてください
魅力というかはわかりませんが、映画制作において作品準備、現場、ポスプロ作業までずっと作品に携われるパートは監督と録音技師だけだと思います。
現場で予想もしない突発的なノイズが発生した時の録音は苦労しますね。
Q. 録音技師にはどのような人が向いていると思いますか?
自分でイメージしている音の感覚を持っていたり、ふとした時に音が耳に入ってきて、その音について考えたりとか。(そんな人いないですかね)
Q. お仕事をする上で大切にしていることを教えてください
この仕事は文化や娯楽のジャンルで、どんなにいい映画を作っても見ていただける方がいないと残っていきません。
お客さんが時間を作ってその作品を見に来ていただいている、ということは意識しています。
Q. あなたにとって映画録音とは?
自分を成長させてくれて、一人ではなし得ないことができるようになるきっかけを与えてくれるものです。
Q. 調布といえば?
調布といえばやはり角川大映スタジオと日活撮影所と白組(山崎監督の会社)ですね。ずっとお世話になっています。
Q.映画業界を目指す人へメッセージ
録音に関わらずどのパートでもいいのですが、自分の能力やセンスをおもいっきりアピールできる業界だと思います。一人でも多くの方に参加していただき、これからの日本映画界を一緒に盛り上げて行けたらいいなと思います。
美術賞:須坂文昭『福田村事件』
【選定理由】
松竹京都、東映京都撮影所のオープンセット等をうまく駆使して福田村(千葉県)らしさを表現していた。坊主畳(縁のない庶民の畳)を使うなど、ありものを上手く取り入れる工夫が随所に見られ、船着き場、村の議会場、民家の設え等随所に大正時代の農村のリアリティが感じられた。限られた予算のなかで、妥協することなく力を尽くした美術スタッフの気迫と情熱を高く評価したい。
【受賞コメント】
決して条件良い撮影現場ではありませんでしたが、作品に携わった多くのスタッフの頑張りのおかげで、こういった評価をいただけたのなら、喜ばしいことと思っております。
【経歴】
1988年映画『帝都物語』のアルバイトより映画の仕事に携わる。その後『エンジェルダスト』から『パンク侍、斬られて候』までの石井岳龍作品や『まぶだち』から『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』までの古厩智之作品に多数参加。
主な作品:『ディアポリス』『素敵なダイナマイトスキャンダル』『激怒』『水の声を聞く』
須坂さんにインタビュー!
Q. 受賞作品はどんな印象の作品でしたか?
低予算ながら力強いメッセージを持った作品になっていると思いました。
Q. 力を入れたシーン
バラバラのロケーションを作品の内容に即した空間の整合性をどう作り上げまとめるか?ということに気を使いました。あとは震災の具体表現の仕方。
Q. 心がけていたこと
自分が無理をすることによって他のスタッフに必要以上の負担をかけないこと。
Q.美術監督とはどのようなお仕事ですか?
作品に寄り添い、その内容に適切な空間を設計して具体化する仕事です。
Q.美術監督を志したきっかけを教えてください
バイトから始まり(多分面白かったのでしょう。)長年続いて、こうなりました。
Q.美術監督の魅力と苦労を教えてください
作品ごとに変わる人々との出会い。魅力も苦労もあります。
Q. 美術監督にはどのような人が向いていると思いますか?
一般常識を理解でき、かつ一般常識にとらわれない人、自分の触れたことのないことに興味を持てる人
Q. お仕事をする上で大切にしていることを教えてください
人間関係
Q. あなたにとって映画美術とは?
生業
Q. 調布といえば?
多摩川住宅(元実家です)
Q.映画業界を目指す人へメッセージ
一般の仕事に比べて、様々な苦労は多いと思いますが、現場へ入って、映画を作る、という具体的な作業が自分の個性に合えば楽しいと思います。
編集賞:宮島竜治『ゴジラ-1.0』
【選定理由】
CGと実写の編集が抜群に上手く、非現実のゴジラ(CG)と実景や俳優の演技が融合し、観客を映画の世界に引きこんでいる。カットバックの間合いを詰めることで、全体としてテンポのいい編集がなされており、ストーリーをうまく現実に落とし込み、場の緊迫感をよく表現していた。なかでも、冒頭の大戸島の場面など、ゴジラを恐ろしく見せたいという監督の意図に、編集がみごとに応えていた。
【受賞コメント】
ゴジラという世界的映画史に残る作品に携われただけでなく調布という映画のまちを代表する映画賞に選出されて光栄です。
感無量です。ありがとうございます。
【経歴】
元大映京都の谷口登司夫に師事し、『ロマンス』でデビュー。
『スウィングガールズ』『ALWAYS三丁目の夕日』『永遠の0』『ゴジラ-1.0』で日本アカデミー賞最優秀編集賞。東京藝術大学大学院映像研究科 客員教授
主な作品:山崎貴・西川美和・中江裕司・タナダユキ・三原光尋・宮藤官九郎・矢口史靖監督の諸作
宮島さんにインタビュー!
Q. 受賞作品はどんな印象の作品でしたか?
ゴジラという歴史の深い作品群に自分も参加できるという喜びしかなかったです。
Q. 力を入れたシーン
山崎組は毎度のことながら、VFXショットが存在しない最初期の編集で想像力をフル回転させるので、楽しいです。
Q. 苦労した点
ゴジラのシーンとは関係なく、登場人物たちのお芝居を編集するうえで退屈しないよう、なおかつ急ぎ過ぎないよう、カッティングのバランスを考えるのに苦心しました。
Q.編集技師とはどのようなお仕事ですか?
画を台本通り繋ぐのではなく、監督がやりたいことにプラスアルファを乗せて、映画をよりよいものへ向上できるか、それを踏まえて観客の感情を想像しながら物語に起伏をつける仕事です。
Q.編集技師を志したきっかけを教えてください
映画は好きだけど、集団行動が苦手で何か自分に向いてるパートはないかと思い。
Q.編集技師の魅力と苦労を教えてください
魅力は、世界の誰よりも一番の観客になれること。
苦労は、苦労が目立たない仕事ということ。
Q. 編集技師にはどのような人が向いていると思いますか?
メンタルが強くないと向いていないと思います。
Q. お仕事をする上で大切にしていることを教えてください
人間の集中力には限界があるので、長時間働かないようにしています。
Q. あなたにとって映画編集とは?
答えの出ないリアル脱出ゲームだと思います。
Q. 調布といえば?
日活撮影所では『ホテルハイビスカス』『WOOD JOB』などでお世話になり、助手の頃は東京現像所内の編集室で『幻の光』に就いたのが思い出です。
Q.映画業界を目指す人へメッセージ
自分で楽しみを見つけてやっていけば長く続けられる仕事です。
最初からうまくいく事などないので、挫けずやっていけば道は開かれると思います。
特別賞:株式会社白組
【選定理由】
1974年設立後、1986年に調布市内にスタジオを設立。ミニチュア制作からコンピュータグラフィックスなどのVFXまで、多彩な技術による優れた映像表現で、日本の映画制作に新風を吹き込み続けている。調布スタジオがVFX制作を担った『ゴジラ-1.0』は、第96回アカデミー賞でアジア映画史上初の視覚効果賞を受賞。歴史的快挙であるとともに、脈々と築き上げられてきた日本の映像技術を広く世界へ示した功績の偉大さは計り知れない。
【受賞コメント】
『ゴジラ-1.0』はそのVFXのほとんどをこの調布市内にあるスタジオで生み出された作品です。多摩川の通りを歩いていると、たまに本作の第96回アカデミー賞®視覚効果部門の受賞を祝うポスターをお店に貼っていただいているのを見かけます。大変ほっこりしますが、それと同じような感覚を今回の賞でも感じさせていただきました。ありがとうございます。(映画監督/山崎貴)
【社歴】
1974年に設立、50年以上の歴史をもつ映像制作会社。
多彩な映像表現を得意とし、アーティストの表現力と技術力を活かした作品づくりを展開。
映画、ゲーム、CM、TVシリーズなど幅広いエンターテイメント映像を手掛ける。
心の糧を担当する仕事を理念に人の心を打つ良質な作品を世に送りだし、長く人々に愛される作品づくりを追求し続けている。
特別賞:柴崎憲治(音響効果技師)
【選定理由】
日活調布撮影所においてキャリアをスタートし、東洋音響効果グループ、サウンドボックスに参加後、フリーを経て1997年有限会社アルカブースを設立。音響効果技師として永年にわたり膨大な数の作品のポストプロダクションに携わり、「日本で最も多忙な音効マン」と評される。そのリアルかつ分厚く精密なサウンドエフェクトは注目を集め、音響効果という仕事の重要性を映画界に認知させた。
【受賞コメント】
音響効果という仕事は地味な、余り表面に出ない裏方の仕事です、こういう仕事を評価してもらえた事が有り難く、光栄に思います。音響効果の若い人達にも、励みになると思います。有難う御座います。
【経歴】
1978年東洋音響グループに入社。1988年倉橋静男氏とサウンドBOX設立。1997年アルカブース設立。現在にいたる。
2008年日本アカデミー協会特別賞 2011年第21回東京スポーツ映画大賞技術スタッフ賞
第44回日本アカデミー賞最優秀録音賞(『Fukushima 50』)
主な作品:『Shall we ダンス?』『リング』『バトルロワイヤル』『ALWAYS 三丁目の夕日』『アウトレイジ』『関ヶ原』『この世界の片隅に』『孤狼の血』『流浪の月』『峠 最後のサムライ』『月』『碁盤斬り』『Cloud クラウド』
柴崎さんにインタビュー!
Q.音響効果技師とはどのようなお仕事ですか?
セリフ、音楽以外の音をつくること。例えば「足音、街の雰囲気、人声、車、電車、鳥、雨、風、波」などなどバックグラウンドの音や、単発の「銃、殴り」などに、画面を見ながら音を付けていきます。
地味にコツコツと背中を丸めて、パソコンに向かって独り言を言いながら、黙々と作業して行きます。
ただその作業をする事によって、映像に膨らみや奥行きを作り空気を感じさせる事が、音響効果という職人仕事だと思っています。
Q.音響効果を志したきっかけを教えてください
映画の仕事に関われればいいかなというぐらいで、たまたま音響効果の仕事に拾って貰ったという事です。
あまり出来のいい方では無かったので、音響効果の先輩達のおかげで形にしてもらいました。
Q.音響効果にはどのような人が向いていると思いますか?
真面目で不真面目、遊び心と柔軟性 大胆さと繊細さ かな!
Q. お仕事をする上で大切にしていることを教えてください
一方向で物を見ない事、多面的に、固定観念を持たないこと
Q. あなたにとって音響効果とは?
音を付けてどのくらい映画を変化させられるのか、創意工夫が出来ているか、ですかね。
Q. 調布といえば?
若い頃、百店街で飲んだくれていました。好きだった店は、もう有りません。今は駅前のエビスバーがいいね。