映画のまち調布賞 受賞者
Award

撮影賞「モリのいる場所」 月永 雄太(つきなが ゆうた)


  • © 2017「モリのいる場所」製作委員会

選定理由

作品のもつ静かな時間に自然に入りこめる映像で、実に根気よく丁寧に撮影されている。とくに昆虫との絡みの撮影は難しかったと思われるが、上手に撮られており、暗部と明部のバランスもよく、庭の緑色、グリーンが同じトーンでとらえられている点にも感心した。実に撮影設計がしっかりとした作品である。

経歴

1999年、日本大学芸術学部映画学科卒業後フリー。沖田作品は『キツツキと雨』(12)以来2作目。主な作品に『東京公園』、『その夜の侍』、『きみはいい子』、『葛城事件』、『少女』、『南瓜とマヨネーズ』、『素敵なダイナマイトスキャンダル』、『スマホを落としただけなのに』など。

受賞コメント

作品に投票してくださった方々、観てくださった方々、ありがとうございます。 (当然ながら)
チームで作った作品ですので、個人名で賞をいただくのは少し気が引けますが、また観ていただくきっかけのひとつになるのであればうれしいです。
それから、「映画のまち調布シネマフェスティバル」第一回の開催、おめでとうございます。新たな作品を携えて、再び呼んでいただけるようがんばります。

作品の見所や制作過程でのエピソードなど

物語のモデルとなった画家熊谷守一さん(モリ)、沖田監督が書いた面白い台本、山﨑努さんと樹木希林さんお二人を筆頭にした芸達者な俳優陣、さらに安宅さん率いる美術チームが飾ってくれたモリの家、その庭、それらが揃っていたら、あとはキャメラで記録するだけで充分なことは撮影前にわかっていました。あとするべきことと言ったら、庭を観察し、そこに生息しているであろう生き物たちを撮る、ということだけでした。一軒家のとなりの空家に寝泊まりしながら、毎朝日の出とともに2、3時間、ひとりキャメラをスタンバイして庭を観察してみました。そのうちにいろんなことがわかるようになりました。どの生き物がどの時間帯に出てくるかとか、アゲハチョウはどのルートを通るのか、とか。結果約3週間、毎朝何かしらの生き物を狙ってキャメラを構えることになりましたが、それは苦労と言うより、30年間自宅の庭を観察し続けたモリをほんの少しでも追体験できた、ような、それはそれは贅沢な時間でした。

照明賞「空飛ぶタイヤ」 長田 達也(おさだ たつや)


  • © 2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

選定理由

勧善懲悪の物語をライティングでみごとに表現していて、陰影のバランスは絶妙である。ワインバルのシーンでは、トップ光とテーブルクロスの反射光をうまく使い、演者の感情やそれぞれの社内での立場まで表現されていた。セリフに説得力のある表情を導きだす照明は作品に力を加えている。

経歴

1983年「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」で照明技師を担当。以降、現在までテレビドラマ・CM・劇映画90本以上の照明を担当している。「Shall we ダンス?」で日本アカデミー賞最優秀照明賞を受賞。主な作品に「壬生義士伝」、「舟を編む」、「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」、「こんな夜更けにバナナかよ」等多数。

受賞コメント

この度、映画のまち調布シネマフェスティバルの第一回照明賞に選出していただきありがとうございます。映画界の裏方に注目してくださるフェスティバルとしては日本で初めてでは無いかと思います。調布市民の皆さんや選考委員の方々並びに調布市文化・コミニュティ振興財団の皆さまに感謝いたします。

作品の見所や制作過程でのエピソードなど

「よく晴れた日である。タイヤがゆっくりと空を飛んでいく」と書かれた台本のト書きに注目してみた。とても幸せな日常を表現している、その日常が突然の出来事で壊されていく様はタイヤに遮られた影…であるとの思いが、この作品の根幹であると考える。そしてその影を観念的に表現しようと…コントラストを意識した照明設計で構成すると決める。その為、ロケ場所において窓外の光は重要な光源であえて困難な高層ビルでもそれを念頭に照明し全てのシーンで影・黒を意識しました。一つ一つのシーンが伝わるかどうかを考え抜き、時には監督にナイトシーンの追加撮影もお願いしました。

録音賞「空飛ぶタイヤ」 栗原 和弘(くりはら かずひろ)


  • © 2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

選定理由

セリフの聞きやすさ、音楽とのバランス、効果音、全体のバランスで評価した。とくにセリフが丁寧に整音されており、それぞれの役者の声質を見極め非常に心地よく仕上げられており、観客を物語へ自然と取り込んでいる点は見事である。音のサイズ感が良く芝居も見応えがあり、全体のバランスが良い作品である。

経歴

横浜放送映画専門学院卒業後、1986年よりフリーになる。2006年『PETBOXペットボックス』シリーズの一本、『コトリタチノ楽園』で技師デビュー。主な作品に『好きっていいなよ』、『こどもつかい』、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』、『ラストホールド』、『少年たち』他多数。

受賞コメント

記念すべき第一回の録音賞を頂いて非常に光栄です。
『空飛ぶタイヤ』のような素晴らしい作品に出合ってなければ、このような賞は頂けなかったかもしれません。本木監督以下この作品に携わった皆さんに感謝します。

作品の見所や制作過程でのエピソードなど

長瀬さん演じる赤松が自動車で自殺を図るシーンで、見た目の道路の緊迫感を出す為に無限音階を使ってみました。クリストファー・ノーラン監督が多用する耳の錯覚効果で、持続的緊張感を与え不安を煽る効果が生まれるので使ってみました。

美術賞「モリのいる場所」 安宅 紀史(あたか のりふみ)


  • © 2017「モリのいる場所」製作委員会

選定理由

孤高の画家・熊谷守一の世界を巧妙に表現した家。リサーチを重ねて作られた居室やアトリエの飾りや置物などディティールにこだわりが見え、そのひとつひとつが、主人公“モリ”の人物像を表現していた。庭の植栽が非常に丁寧で、物語に合った幻想的な庭に仕上がっている点も効果的である。

経歴

1971年、石川県出身。『月光の囁き』(99/塩田明彦監督)で美術監督デビュー。『旅のおわり世界のはじまり』(黒沢清監督)が2019年公開予定。沖田作品は『南極料理人』(09)『キツツキと雨』(12)『横道世之介』(13)『モヒカン故郷に帰る』(15)に続き5作目。

受賞コメント

この度は素晴らしい賞を頂きまして、誠にありがとうございます。
又、記念すべき第一回目の受賞ということで、正直自分で良いのかなあ、と驚きつつも、大変光栄に思っております。 山﨑さん、樹木さん、はじめ役者さんの素晴らしさは僕が言うまでもありませんが、もし美術的に評価頂けるところがあったとすれば、僕と共にこの作品に参加した美術装飾スタッフ各々の創意工夫が、少なからず背景や場面に反映していたのではないでしょうか。 この作品に限らずになりますが、色々なスタッフの意見やアイディアが無ければ、作品内の世界観は立体的に立ち上がってこないように感じます。皆でこの受賞を祝おうと思います。
あと、この作品に参加する機会を頂いたプロデューサーの皆様、そして難題を含め、新しい事に毎回チャレンジさせて頂いている監督に感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました。

作品の見所や制作過程でのエピソードなど

見所に関しては、ご覧になられた方が印象に残った所、後で思い出すような場面があれば、それではないでしょうか。 苦労、といいますか一番頭を悩ませたのがやはり庭の表現でしょうか。
あまり広大になり過ぎず、かと言って狭くなり過ぎてもいけないですし、手入れされ過ぎてても違いますし、荒れ放題でもいけない。更に家屋との距離感、立地も考慮しなければいけません。
セットでは無くロケセット(実際にある家、庭をベースに作り上げる)という条件のもとで、ロケハンは限られた時間の中、いかにより良い物件を探し当てるかが焦点だったように思います。
物件を探す制作部さんも大変だったように思います。 最終的に絞られたお宅は家屋は年代的にも合致し、佇まいも良く、空間も幾らか手を加えさせて貰えれば素晴らしい物件ではあったのですが、肝心なお庭が雰囲気はありつつも、全てのお芝居を成立させるには少し狭いように感じられました。
何か方策はないかと縁側から庭を眺めていた時に、その先にある隣りのお宅の庭が、簡単な垣根さえ外してしまえば一つの庭として見立てる事が可能で、広さ的にも申し分無いという事に気が付きました。 まあ、些か強引な方法にも思われますが、幸い家屋の物件の方も、お隣の方も本当に良い方々で、家屋にも手を入れ、庭も垣根を取り払い、更に植樹諸々手を入れさせて頂いたのですが、全て快諾頂き、快く作業させて頂きました。色々な方の協力があった上で、初めて成立する事もあると、今回改めて思わされました。

編集賞「ちはやふる-結び-」 穗垣 順之助(ほがき じゅんのすけ)


  • ©2018映画「ちはやふる」製作委員会 ©末次由紀/講談社

選定理由

単調になりがちな競技カルタのシーンが、スピード感のある編集で、ドラマティックにまとめられていて、シーンの狙いをよく活かしている点を評価したい。カルタの監修者にくりかえし実演してもらい実験を重ねたという、ハイスピード撮影・編集の使い方が天才的で作品の質とぴったり合っていた。

経歴

日活芸術学院卒業後、日活株式会社に入社。鈴木晄氏に師事し伊丹十三監督作品「スーパーの女」「マルタイの女」で助手を務め、退社後フリーランスとして編集技師になる。主な作品に、「響」、「君の膵臓をたべたい」、「何者」、「ビリギャル」、「青天の霹靂」、「寄生獣」、「SP 革命編」など。

受賞コメント

この度第一回映画のまち調布賞の編集賞に選んでいただき大変光栄に思っております。「ちはやふる」という娯楽作品の編集を評価して頂いた事に大変驚きそしてとても嬉しいです。調布市は自分にとって映画の仕事を始めた原点の街です。 日活芸術学院で学び、日活の編集部で過ごした時間はかけがえのないものでした。
この賞を頂いたことに驕らず、これからもお客さんに楽しんで頂ける様な作品を編集できる様日々努力し今後の人材の育成にも尽力していきたいと思います。

作品の見所や制作過程でのエピソードなど

「ちはやふる-結び-」は末次由紀さんの人気漫画「ちはやふる」を実写映画化した三作目です。既に上の句、下の句と前二作がある為カルタのシーンは単調にならない様にとかなり意識はしました。そのなかでも今回主人公である綾瀬千早のカルタを取る時に見えている世界を表現するシーンと後半のカルタシーンのモンタージュはとても気に入っています。 苦労したところは新たな登場人物のバランスと都大会と全国大会のシーンの構成です。いかに新たなキャラクターを馴染ませるか。その辺りは過度にならないよう注意しました。そして都大会と全国大会はかなり監督と悩み構成変えをしています。苦労した分とても良い流れになったのではないかと思ってます。

功労賞 南 孝二(みなみ たかじ) 高津装飾美術株式会社 代表取締役会長

選定理由

永年にわたり、高津装飾美術株式会社の代表として、時代劇、現代劇などのジャンルを問わずあらゆる作品の装飾美術を一手に引きうけて、映画・テレビ・演劇制作の現場を支えてきた。
1934年以来、調布に本社を構え、小道具の製作と調達に専心してきた同社の功績は高く評価されており、また、業界の中心的存在として、特定非営利活動法人日本映像美術協議会の設立に尽力し、映像美術の重要性を広く社会に伝えるなど、その振興に貢献した。

作品賞 『万引き家族』


  • © 2018 フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

あらすじ

高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に暮らす、5人の家族たち。足りない生活品は、万引きで賄っていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねて家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。

 


本賞は、主に映画製作の現場を支える技術者や制作会社といった「映画のつくり手」に贈る賞です。
映画・映像関連企業の集積する調布市の独自性を尊重し、「映画のまち調布」にふさわしい映画賞として、映画文化、芸術、産業の振興に寄与した映画・映像作品及びその製作に貢献した者を顕彰します。

市民投票募集期間
2018年4月20日(金)~10月14日(日) 

投票総数
11,168 投票結果詳細はこちら

対象作品
2017年10月1日から2018年9月30日までに国内の商業映画劇場で、有料で初公開された日本映画が対象です。
【主な対象作品】
主な対象作品一覧はこちらからご覧いただけます。

投票対象者
・調布市内在住・在勤・在学の方
・シアタス調布にご来場の方

投票について
① 投票箱設置会場での投票用紙による投票
② インターネット投票 です。
1人1回の投票につき3作品まで、投票期間中に3回投票できます。(合計9作品に投票できます)

投票箱設置会場
・トリエ京王調布C館 シアタス調布
・調布市グリーンホール
・調布市せんがわ劇場
・調布市文化会館たづくり
・調布市役所2階総合案内
・調布市東部公民館/西部公民館/北部公民館
・調布市民プラザあくろす3階男女共同参画推進センター ほか

各賞 受賞対象者
撮影賞/照明賞/録音賞/美術賞/編集賞
映画製作の現場を支える種々の技術者

作品賞

映画制作会社等

功労賞

「映画のまち調布」の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した者

賞の決定
技術部門
撮影賞/照明賞/録音賞/美術賞/編集賞
調布市民(市内在住・在勤・在学)及びイオンシネマ シアタス調布来場者による投票で候補作品を選出。
シネマフェスティバルで上映可能な投票上位9作品を受賞候補作品とし、各賞の選考委員で討議のうえ受賞者を決定する。
《技術部門ノミネート作品》
「空飛ぶタイヤ」「カメラを止めるな!」「DESTINY 鎌倉ものがたり」「ちはやふる -結び-」「モリのいる場所」「羊と鋼の森」「探偵はBARにいる3」「北の桜守」「終わった人」

功労賞 
選考委員会で討議のうえ受賞者を決定する。

作品賞 
市民投票最上位作品とする。

選考委員
撮影賞 稲垣 涌三、磯貝 昇利
照明賞 西野 哲雄、中須 岳士
録音賞 小野寺 修、志満 順一、鶴巻 仁、小松 将人
美術賞 竹内 公一、鈴木 隆之、岩城 南海子
編集賞 宮澤 誠一、小堀 由起子

映画まち調布賞 トロフィー

~制作にあたり~

「時代劇・現代劇どちらの撮影にもふさわしい自然環境やフィルムの現像に欠かせない良質な地下水があった」ことが、調布が映画のまちとなった理由だと聞きました。
市内を流れる多摩川や野川は、その周辺の景色や、水のイメージともに調布が映画のまちとなったきっかけを象徴するものであると思います。
そこで、水、川、フィルムをキーワードにデザインを考案しました。

良質な水はガラス、うねり輝く川、そしてフィルムでの形態に金属を使用し、その台座には調布の木である楠を採用し表現しています。
また、うねる川を模した金属を手前と奥に配置し、捻れた2重螺旋の様な形にすることで遺伝子の様に分裂、増殖し新しいものが生み出される姿をイメージしています。
ガラス、金属、木いずれも熱のこもった手作業で加工されています。
映画作りも、モノづくりも人の熱によって実現していると考えています。

同じ熱を持つものとして、トロフィーを通じ、映画作りを応援できればと願っています。

 



山田元子(やまだ はるこ)

1981年 茨城県つくば市生まれ
東京藝術大学大学院修了後、文星芸術大学助手、イギリスV&A美術館訪問研究員を経て2012年スタジオげん設立。
身体感覚をテーマに立体作品を制作。美術・造形教育にも取組み、2014年調布市に「街のアトリエ1号室」開設。
「カラダを動かし モノを作り 世界と対話する」を理念に、子ども教室やクラフト講座など展開。

 

入選
Summer Exhibition2012入選/Royal Academy of Art/ロンドン

第8回タグボートアワード入選/2013
South Tyneside彫刻ドローイング展2014入選/イギリス


出品
「アートのチカラ」2015/伊勢丹/新宿

「Art Busan 2015」/釜山/韓国
「KIAF 2015」/ソウル/韓国
「暮らしと表現の芸術祭2016」/fete府中/東京

お問合わせ
contact

公益財団法人 調布市文化・コミュニティ振興財団
文化・コミュニティ事業課 文化事業係

042-441-6150

042-441-6160

bunka@chofu-culture-community.org