第8回映画のまち調布賞 受賞者発表

この賞は、主に映画製作の現場を支える技術者や制作会社といった「映画のつくり手」に贈る賞です。
映画・映像関連企業の集積する「映画のまち調布」にふさわしい映画賞として、映画文化、芸術、産業の振興に寄与した映画・映像作品及びその製作に貢献した者を顕彰します。
【技術部門各賞】
撮影賞、照明賞、録音賞、美術賞、編集賞
受賞対象:映画製作の現場を支える種々の技術者
選考方法:第8回日本映画人気投票によって選出された「映画のまち調布 シネマフェスティバル2026」で上映可能な上位10 作品の実写映画をノミネート作品とし、各賞、映画製作において功績のある映画技術スタッフ等で構成する選考委員会で討議の上、受賞者を決定する。
ノミネート作品:『はたらく細胞』、『国宝』、『侍タイムスリッパー』、『正体』、『劇映画 孤独のグルメ』、『グランメゾン・パリ』、『ファーストキス 1ST KISS』、『室井慎次 敗れざる者』、『35年目のラブレター』、『劇場版ドクターX』
選考委員
〇撮影賞:磯貝昇利、小川洋一、金子正人
〇照明賞:西野哲雄、長嶋建人、野口益登、戸田将弘
〇録音賞:志満順一、小野寺修、中村 淳、田辺信道、山本逸美
〇美術賞:竹内公一、安藤 篤、齋藤 卓、酒井 賢
〇編集賞:宮澤誠一、鵜飼邦彦、日下部元孝、川島章正
【作品賞】
選考方法:第8回日本映画人気投票最上位作品とする。
【特別賞】
受賞対象:「映画のまち調布」の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した個人若しくは団体又は近年にめざましい活躍をした映画・映像関係者
選考方法:調布市内の映画・映像企業等で構成する選考委員会で討議の上、受賞者を決定する。
〇協力 協同組合日本映画撮影監督協会/協同組合日本映画・テレビ照明協会/協同組合日本映画・テレビ美術監督協会/協同組合日本映画・テレビ編集協会/日本映画・テレビ録音協会(五十音順)
〇審査試写会場提供 日活調布撮影所
審査総評
総数11,777票の投票をもとに候補作を選び、選考上映会を実施、選考委員の活発な議論を通して各賞を決定するという例年通りの進行を無事終えることができた。話題作「国宝」は照明賞・録音賞・編集賞の三賞を受賞、邦画実写部門の興行記録の達成にとどまらず、技術面においても成果を示し高い評価を獲得した。「はたらく細胞」はオリジナルかつユニークな発想の大道具やCGとのマッチングが好評で、「正体」は物語に没入させる卓越した技術が評価された。他の映画賞とは多少異なる結果となったかもしれないが、そこが映画のまち調布賞である。
(実行委員長 佐伯知紀)
作品賞:『はたらく細胞』

©清水茜/講談社 ©原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 ©2024映画「はたらく細胞」製作委員会
【プロデューサーからの受賞コメント】
茂の体内で内肛門括約筋と外肛門括約筋がせめぎ合うシーンは、調布にある角川大映スタジオで撮影しました。
本作の中でも特に人気のあるシーンの一つとなったことをうれしく思っております。
また、そんなご縁のある調布の皆様に作品賞へ選んでいただけましたこと、大変光栄です。
これからも皆様に長く愛される作品となることを願っております。
田口生己(プロデューサー)、阿久澤杏(アシスタントプロデューサー)
撮影賞:川上智之『正体』

【選定理由】
構図や画調も非常に優れており、観客に内容が伝わりやすいカメラワークを評価したい。「映画は大きいスクリーンで観る」という事を念頭に置き、引きの画を用いた効果的なシーン転換や、逃走シーンの緊迫感を創出するワンカット撮影など、カメラマンの卓越した撮影技術によって没入感が高められている。また監督や脚本の意図を深く汲み取った撮影は、対比的な登場人物を際立たせ、物語のメッセージ性を見事に表現しており、作品全体の高い完成度に貢献している。
【受賞コメント】
この度はこのような賞をいただき誠に光栄です。
「正体」は自分の人生においてこの先振り返ることになるであろう分岐点となる作品だと思っております。今回の受賞はそのような作品が完成し評価いただけた喜びと同時に、「正体」という作品が広く知られ評価していただけたことへの実感となり背筋が伸びる思いです。改めてありがとうございました。
【経歴】
写真家 / 撮影監督
グラフィックデザイナーを経て、現在写真家、撮影監督として活動。数々のアーティストの写真やミュージックビデオをはじめ、映画、広告、ファッションなど様々な分野で活躍している。映画『正体』にて第48回日本アカデミー賞、優秀撮影賞受賞。
主な作品:『その日、カレーライスができるまで』『スクロール』『世界征服やめた』『DIVOC-12/名もなき一篇・アンナ』『MIRRORLIAR FILMS Season4/名もなき一篇・東京モラトリアム』『ヴィレッジ』『正体』
川上さんにインタビュー!
◇作品のお気に入りのシーンや苦労したシーン
鏑木がマンションから飛び降りて逃走し川に飛び込むまでの一連のシーンをワンカットで撮影した際、
なるべくリアルにこだわりギミック的なアイデアを出しつつも、本人と共にカメラもマンションから一緒に飛び降りたりフィジカルで出来る事を最大限に活かした手法をとった事が印象に残っています。
◇印象に残る監督とのやり取り。制作秘話など。
撮影現場の裏話的な事になるのですが、鏑木が身を隠すため変装して都会に紛れるシーンで、撮影現場となる朝の通勤ラッシュ時の新宿の駅前で、通行の一般の方達に横浜流星が終始気付かれずに撮影が進行できた事。役者や衣装、ヘアメイクなど藤井組の作り込みのクオリティの高さを物語っていると感じました。
◇撮影監督を志したきっかけ
ミュージックビデオが好きでいつか撮りたいと思っていて、写真を撮る傍ら独学でミュージックビデオを撮った時から始まりました。
◇撮影監督という仕事の魅力は何ですか
うまく言葉にはできませんが、自分の人生で一番続いている事なので相当な魅力があることだけはわかっています。
◇映画業界を目指す人へ一言
自分もまだ映画業界の中にいるとはっきり言える立場ではないと思っているので無責任な事は言えないのですが、
映画業界に関わらず何事も期待しすぎず心配しすぎずそのまま進んでいければいいのではないかと思います。
照明賞:中村裕樹『国宝』

【選定理由】
繊細な仕事によって50年にわたる物語の時代性が着実に表現されている。特に、色彩と明暗のバランスが見事。物語の発端となる冒頭の料亭のシーンでは、雪の白さや柔らかな外光と温かみのある室内灯のアンバー色との組み合わせが美しく、暗部においても一つ一つの色相に細かな気遣いを感じさせる。全体を通して印象的なキャッチライト※や視線誘導など、映像への没入感を高める工夫が生きていた。
(※登場人物の目に映る光の反射のこと)
【受賞コメント】
映画俳優が50年に渡る波乱万丈の歌舞伎役者人生と、それを取り巻く人々を演じるという、途轍もない挑戦に監督以下キャスト&スタッフが一丸となって、次々と襲ってくるアクシデントや困難に立ち向かい完成に辿り着いた作品です。
その作品が多くの方々に愛され、このような賞を頂けることは撮影時には想像もしなかった奇跡だと感じています。
【経歴】
日本アカデミー優秀照明賞 17回『はるか、ノスタルジィ』20回『スワロウテイル』29回『北の零年』29回『春の雪』36回『あなたへ』40回『怒り』46回『流浪の月』 最優秀照明賞 28回『世界の中心で、愛をさけぶ』
日本映画テレビ照明協会 映画部門特別賞 『Love Letter』 CM部門最優秀照明賞 30回「日本中央競馬会」48回「東京シティ競馬」51回「クボタ」 配信部門最優秀照明賞 56回Netflix「地面師たち」
全日本シーエム放送連盟 ACC CM FESTIVAL テレビCM部門クラフト賞 「トヨタクラウン」
日本映画テレビ技術協会 映像技術賞 『怒り』
主な作品:『Love Letter』『スワロウテイル』『東京兄妹』『トキワ荘の青春』『ノルウェイの森』『ラスト サムライ』(日本部分)『世界の中心で、愛をさけぶ』『サッド ヴァケイション』『怪談』『マチネの終わりに』『リボルバー・リリー』『楓』
中村さんにインタビュー!
◇作品のお気に入りのシーンや苦労したシーン
東映京都撮影所で、料亭、花井邸、日乃本座などをセットに組み撮影しました、それぞれ照明によるリアリティと情緒感を出すことに苦心しました。
特に日乃本座は一から格調高い歌舞伎劇場を作る作業でセットを建てるまでに物理的な苦労がありました。その日乃本座で最後に、人間国宝に昇り詰めた喜久雄が演じる『鷺娘』のライティングは、ライトの動きや微妙な色を駆使して、喜久雄の華麗な演舞と心情に寄り添うよう魂を込めたものです。
◇印象に残る監督とのやり取り。制作秘話など。
監督からは50年に渡る時代感を出して欲しいと言われました、美術、衣装、メイク、装飾、小道具の素晴らしい時代設定と共に、照明も都度その年代に合った電飾や機材を使い、時代に合わせたトーンを模索し創っていきました。
◇照明技師を志したきっかけ
映画撮影の仕事したくて照明部に入りましたが、続けていくうちに光で物語を語るという映画照明の仕事に魅力とやり甲斐を感じました。
◇照明技師という仕事の魅力は何ですか
光で創る映像によって物語を語れる事が一番の魅力だと思います。
◇映画業界を目指す人へ一言
まず映画の撮影現場に入り、現場作業を経験し継続してみる事です。
◇お仕事を始められた頃の失敗談
照明の本質が分からなかった頃は失敗ばかりでした。
◇調布といえば?
30年くらい調布に居住しています、トリエができて大体の生活に必要な物、事は調布で賄えます。
深大寺や野川沿いの散歩。京王アリーナのトレーニングジム。地元の仲間とインディアカ競技。
録音賞:白取 貢『国宝』

【選定理由】
俳優の声質を生かしつつ、映画館で心地よく響くように丁寧に処理されたセリフ収録と、歌舞伎音楽と劇伴音楽を絶妙に絡めて場面を盛り上げた音楽バランスを高く評価したい。せりで壇上の花道に上がる際の俳優の呼吸音ひとつにも緊張感が表現されるなど、映画ならではの手法で観る者を引き込む工夫が随所に見られ、その技術の高さが作品の魅力を見事に引き立てていた。
【受賞コメント】
この賞をありがとうございます。『国宝』では、本物の歌舞伎音と役者の息・衣擦れ・静寂を丁寧に拾いました。過剰加工を避け、各音の粒を立たせ余韻を残すことに徹しました。シンプルに厳かに響く音が観客の心に届いたなら、それが最高の喜びです。感謝します。
【経歴】
1962年北海道出身。伊丹十三監督、北野武監督などの録音助手を経て2000年三池崇史監督作品『DEAD OR ALIVE 2 逃亡者』で録音技師デビュー。第58・61・71回毎日映画コンクール録音賞、第30・33・34・40回日本アカデミー優秀録音賞受賞。
【主な作品】
『パッチギ!』『フラガール』『ゆれる』『悪人』『すばらしき世界』『そして、バトンは渡された』『寄生獣』『流浪の月』
白取さんにインタビュー!
◇作品のお気に入りのシーンや苦労したシーン
少年時代の喜久雄と俊ぼんが万菊の鷺娘を踊っているのを鑑賞しているシーン
◇印象に残る監督とのやり取り。制作秘話など。
李さんからこの映画を歌舞伎映画にしないでほしい、喜久雄の50年の生き様を見せる音響設計にして欲しいと言われていました。
◇録音技師を志したきっかけ
幼少期からラジオが好きだった影響
◇録音技師という仕事の魅力は何ですか
時間芸術、サウンドデザインによって観客の感情を導いていけるところ。
◇映画業界を目指す人へ一言
この作品は間違いなくこれから作られていく映画のテンプレートになると思います。
フレッシュな才能と惜しみ無い努力で「国宝」を抜く素晴らしい作品を作り上げてください。
◇調布といえば?
台北飯店
美術賞:三浦真澄、濱田千裕『はたらく細胞』

【選定理由】
細胞の擬人化というコンセプトに応えるオリジナリティと発想の豊かさがすばらしい。赤と青のパイプで血管を表現するなど、ユニークなアイデアで作りこまれた大道具はCGとうまく融合し、体内の“異世界感”に説得力を持たせていた。ロケーションのセレクトも良く、東京国際フォーラムの吹き抜けの大空間を用いた場面なども印象的で、美術が作品の面白さを引き立てていた。
【受賞コメント】
<三浦真澄>
数ある作品の中から選んでいただきありがとうございます。ビジュアル的な観点から、この作品を通して皆様に少しでも彩りを感じていただけたなら幸いです。
【経歴】
<三浦真澄>
大学卒業後バンタン映画映像学院に所属。その折にデザイナーの花谷秀文に師事しこの業界に入る。
『日曜大工のすすめ』 釜山映画祭スペシャルメンション
『Floating Away』 Los Angels Independent Film Festival Awards Best Feature Film
『はたらく細胞』 第48回日本アカデミー賞 最優秀美術賞
主な作品:『百瀬、こっちを向いて。』『億男』『小さな恋のうた』『都会のトム&ソーヤ』
助手としては羽住英一郎監督の海猿シリーズ、山崎貴監督作品に多く参加。
三浦さんにインタビュー!
◇作品のお気に入りのシーンや苦労したシーン
放射線治療後の日胡の体内のワンシーンは静岡県の中田島砂丘でロケしたのですが、奥に見える大きな柱。。。実際に作った巨大な柱をひたすら砂丘を歩いて搬入し飾った記憶と共に、映像の奥に佇む廃墟感が出たなと感じております。
◇印象に残る監督とのやり取り。制作秘話など。
デザインワークにおけるデザインの良し悪しだけでなく面白さの追求などでしょうか?あるシーンで、エキストラ看板に汚しをかけて雰囲気に合わせましたが、監督より字が読めないと。…エキストラ看板1つ1つでも映った時に観る人に伝えたい想いを感じました。
◇美術監督を志したきっかけ
『スワロウテイル』という映画を学生時代に見てその世界観に衝撃を受けたのが最初かもしれません。
◇美術監督という仕事の魅力は何ですか
脚本の中の人物たちの人生、歴史、そしてそのまさに生きているその瞬間を背景から映像の中に凝縮する面白みですね。
◇映画業界を目指す人へ一言
日本だけでなく色々な国の映像作品に触れやすい昨今なので、自分なりに心に刺さる作品に出会ってもらい、その中のカメラワークや照明、音や美術などの切り口からも興味をもってもらえればいいなと。そういう原点の熱量はとても大切だと思ってます。
◇お仕事を始められた頃の失敗談
ロケという名の下に縁もゆかりもない多くの土地に急に行く事が多くなり、その都度、地名がわからな過ぎて、逆方向の電車乗ってしまったり、乗り過ごしてしまったり、遅刻するかもしれないという冷や汗をかくことが多々ありました。
◇調布といえば?
日活調布撮影所で撮影していた作品の時、諸先輩方と撮影終わりに叱咤してもらった思い出が多くあります。
編集賞:今井 剛『国宝』

【選定理由】
膨大な撮影素材から的確なショットを選び抜き、巧みに編集していた。特に「曽根崎心中」での舞台上と客席とのカットバックや、「鷺娘」での衣装の早変わりシーンの編集は見事で、視覚的に引き込まれる編集が光る。また、時代や場面の切り替えには明確な区切りがあり、長尺でもストーリーが分かりやすい。編集技師の長年培った技術と芸術的センスが融合し、映画全体に圧倒的な風格をもたらしていた。
【受賞コメント】
調布は撮影所もあり、昔から何度も通った街。その街の映画賞で受賞できて大変光栄に思います。
公開後、こんなにも独り歩きする作品は初めてです。思い出深い作品になりました。
【経歴】
1969年生まれ。株式会社ルナパルク代表取締役。
『GO』で日本アカデミー最優秀編集賞受賞
主な作品:『世界の中心で、愛をさけぶ』『フラガール』『るろうに剣心』シリーズ 『怒り』『キングダム』シリーズ
今井さんにインタビュー!
◇作品のお気に入りのシーンや苦労したシーン
お気に入りは、やはり歌舞伎の演目シーンの編集です。撮影された素敵な映像を繋げるのは幸せでした。
苦労したのは、上映時間を短くすることです。
◇印象に残る監督とのやり取り。制作秘話など。
短くしていく作業は大変でしたが、『怒り』から始めた感情で繋いでいくショートの技法で、いくつものトライができ、比較的有意義に編集作業ができました。
長く李監督と共に一緒に作ってきた経験があってのことだと思います。
映画製作はよく「組」という言い方をしますが、組の良さを感じました。
◇編集技師を志したきっかけ
元々創作が好きで、特に脚本作りに興味がありました。映画学校のカリキュラムで脚本を書いている時、映像や音がイメージで出てきて、でもそれを具体で書くことが出来ない。これを満たす部署は何処だろうと考えた時、編集だと思い、編集部に転科しました。そこから編集が好きになりました。
◇編集技師という仕事の魅力は何ですか
映像を繋いでいくことによって、観る人の心を動かすことができるのが最大の魅力です。
◇映画業界を目指す人へ一言
目指したいと思った時(頃)の気持ちを大切に。
◇調布といえば?
撮影所や現像所、北に南に、昔からよく通う街です。
まさに映画業界に入った時からの思い出があり、駅前の定食屋、仕事後の飲み屋さんなどが思い出されます。駅が地下になり風景はかなり変わりましたが、また新しい街の思い出を作りたい街です。
特別賞:江川悦子(特殊メイクスーパーバイザー、株式会社メイクアップディメンションズ代表取締役社長)

【選定理由】
1979年よりハリウッドで特殊メイクの技術を学び、数々のプロジェクトに参加。帰国後、1986年日活調布撮影所内に(株)メイクアップディメンションズを設立し、東宝スタジオ内に移転した現在まで、映画をはじめとして、TV・CM・配信ドラマと多岐にわたるジャンルで活躍を続けている。特殊メイクという職種を、国内の映像製作において欠かすことのできない重要な仕事の一つとして根付かせ、映像表現の発展に寄与した。
【受賞コメント】
この度は思いがけず「映画のまち調布賞」をいただけることになり大変うれしく思います。アメリカで特殊メイクの世界に入り、帰国してからは調布の日活撮影所内に小さな工房をお借りしてスタートしました。それからあっという間に40年近くになります。
2008年からは、東宝スタジオへ移転いたしましたが、調布がスタート地点であることに変わりありません。長く続けてこられたこと、この賞に繋がったことも一緒に仕事をしてくださった皆様たちのお陰と心より感謝しています。ありがとうございました。
【経歴】
1980年代米国ロサンゼルス在住中、Joe Blasco Make-up Centerで特殊メイクを学び、スタッフとして米映画『デューン 砂の惑星』『ゴーストバスターズ』(共に84)に参加。帰国後、特殊メイクと造形の工房(株)メイクアップディメンションズを設立。以来、日本映画界における特殊メイクのパイオニアとしてSF作品に限らず、ジャンルを超えた数多くの作品に参加。いずれの作品においても監督・現場スタッフから厚い信頼を寄せられている。17年文化庁映画賞・映画功労部門受賞、22年芸術選奨文部科学大臣賞、23年日本放送協会放送文化賞受賞。
高画質時代に対応した創意工夫と更なる技術革新、人材育成に取り組む姿勢も高く評価されている。
主な作品:<映画>『ゲゲゲの鬼太郎1&2』『おくりびと』『記憶にございません!』『日本独立』『信虎』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』『ディア・ファミリー』 <TV>「教場1&2」「青天を衝け」「おちょやん」「ばけばけ」「べらぼう」
江川さんにインタビュー
◇特殊メイクの世界を志したきっかけ
アメリカへ行ったことが運命の出会いでした!!『狼男アメリカン』という映画の狼の変身に興味を持ち、特殊メイクを始めました。
◇特殊メイクという仕事の魅力は何ですか
変えること、ないものを作れること。
◇映画業界を目指す人へ一言
表の華やかさに惑わされてはいけません。
スタッフは裏方なので、厳しく辛いこともあります。それでもめざしたい人は頑張りましょう。
◇お仕事を始められた頃の失敗談
CGなどまだない時代に、仕掛けで首を飛ばすシーンがありました。首は胴体と切り離して作成し、軽くのせてくっついているように処理をして、さて本番!!「よ~い」というところでコロンと首が落ちました。大物俳優が介借人だったため、怒り出すのでは?と・・現場はシ~ンと凍り付きました。
◇調布といえば?
日活撮影所。以前、撮影所内に工房をお借りしていたのでとても調布には馴染みがあります。
でも最近は駅前がすっかり変わったので思い出深いお店もなくなりました。