第5回映画のまち調布賞 受賞者

第5回映画のまち調布賞 受賞者発表

主に映画製作の現場を支える技術者や制作会社といった「映画のつくり手」に贈る賞です。
映画・映像関連企業の集積する「映画のまち調布」にふさわしい映画賞として、映画文化、芸術、産業の振興に寄与した映画・映像作品及びその製作に貢献した者を顕彰します。

撮影賞、照明賞、録音賞、美術賞、編集賞(技術部門)

受賞対象:映画製作の現場を支える種々の技術者
選考方法:「映画のまち調布 シネマフェスティバル2023」で上映可能な第5回日本映画人気投票上位10作品の実写映画をノミネートとし、各賞、映画製作において功績のある映画技術スタッフ等で構成する選考委員会で討議の上、受賞者を決定する。

【ノミネート作品】
『マスカレード・ナイト』、『シン・ウルトラマン』、『護られなかった者たちへ』、『総理の夫』、       
『そして、バトンは渡された』、『劇場版 きのう何食べた?』、『コンフィデンスマンJP 英雄編』、
99.9-刑事専門弁護士– THE MOVIE』、『燃えよ剣』、『メタモルフォーゼの縁側』

【選考委員】
撮影賞(稲垣涌三、磯貝昇利、根岸 宏)
照明賞(西野哲雄、野口益登、長嶋建人)
録音賞(志満順一、小野寺修、中村 淳、田辺信道、山本仁志、山本逸美)
美術賞(竹内公一、安藤 篤、今井髙司、齋藤 卓、鈴木隆之)
編集賞(石島一秀、川瀬 功、斉藤和彦、川島章正)

作品賞

日本映画人気投票最上位作品

特別賞

受賞対象:調布市の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した個人若しくは団体又は近年にめざましい活躍をした映画・映像関係者。
選考方法:調布市内の映画・映像企業等で構成する選考委員会で討議の上、受賞者を決定する。

作品賞『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』

©2021 日本すみっコぐらし協会映画部

【大森貴弘監督からの受賞コメント】
この映画を愛して下さった皆さまに深く感謝します。私自身、調布に身を置き映画を楽しみ制作する者として、大変嬉しい受賞でした。このすてきなキャラクターを生み出したよこみぞさんとサンエックスのスタッフの皆さま、完成へと導いて下さったスタッフキャスト一同と、この喜びを分かち合いたいと思います。ありがとうございました。

 

撮影賞:『護られなかった者たちへ』鍋島 淳裕(なべしま あつひろ)

【選定理由】
派手なテクニックに頼らず堅実な撮影スタイルでありながら、要所ではカメラアングルの絶妙な切り替えにより観客に緊張感を与え、物語に集中できる作品に仕上がっていた。
シネスコ(画面比率の一種)の広い画角を生かした的確なカメラワークは登場人物の心の機微を捉えており、キャメラマンの熟練した映像技術が、観客の感情を揺さぶるこの重厚な物語をしっかりと支えている。

【受賞コメント】
東北の出身者として震災をモチーフにした本作で賞をいただけたことをとても光栄に思い、また重く受け止めております。

【プロフィール】
福島県出身。中央大学卒業後、仙元誠三、浜田毅、長沼六男、稲垣涌三、近森真史、佐光朗、栢野直樹などのキャメラマンの下で助手をつとめたのちに独立。近年では瀬々敬久監督のほかに、廣木隆一、白石和彌、月川翔、隅田靖、熊澤尚人、ウェイン・ワン、橋本光二朗、田口トモロヲ、井上淳一などの監督作品に携わっている。
45回日本アカデミー賞優秀撮影賞受賞。

 

照明賞:『護られなかった者たちへ』かげつよし

 

【選定理由】
避難所ではストーブや蝋燭の灯りによって空間の寒さや寂しさを伝え、けい(倍賞美津子)の家では困窮がうかがえる薄暗さと団欒の温かさを違和感なく両立させるなど、シーンに合わせて緻密に練り上げられた照明づくりが見事である。暗い画面が続く中でも欲しいところに的確に光が当たっていた。照明技師のストーリーに寄り添った丁寧なライティングを高く評価したい。

【受賞コメント】
数ある作品の中から、『護られなかった者たちへ』を、選んでいただき、有難う御座います。これからも、作品に、光を当てて行きたいと、思います。

【プロフィール】
福岡県出身。日本映画学校(4)卒業後、東宝映画技術課照明係入社。20203月よりフリーランスの照明技師となり、今現在に至る。

 

録音賞:『そして、バトンは渡された』白取 (しらとり みつぐ)

【選定理由
セリフ、効果音、音楽の全てにおいてレベルが高く、それぞれがバランスよく調整された心地よいミキシングであった。ピアノの美しい音色や調理中の美味しそうな効果音などが各場面の魅力を高めており、ストーリーの展開に合わせて音響にも緩急を持たせることで、クライマックスに向けて盛り上げていく音響設計も素晴らしい。ひとつひとつの音の丁寧な処理が作品の完成度を更に高めている、正にプロの仕事である。

【受賞コメント】
この度は、このような栄えある賞をいただきありがとうございます。この調布という街は、日活撮影所で助手時代から育ててもらった思い出のある場所です。だからこそこの受賞は、大変光栄ですし感慨深いものがあります。

【プロフィール】
1962年北海道出身。伊丹十三監督、北野武監督などの録音助手を経て2000年三池崇史監督作品『DEAD OR ALIVE 2 逃亡者』で録音技師デビュー。
主な作品に『ホテルローヤル』(20・武正晴監督)、『無頼』(20・井筒和幸監督)、『すばらしき世界』(21・西川美和監督)、『そして、バトンは渡された』(21・前田哲監督)、『流浪の月』(22・李相日監督)など。
303340回日本アカデミー賞録音賞など受賞多数。

 

美術賞:『護られなかった者たちへ』松尾 文子(まつお あやこ)

【選定理由
東日本大震災による津波直後の被災地に山をなす瓦礫、生活に困窮する家、役場や避難所となった学校の様子など各所の装置・装飾に説得力があり、観客を日常ではない特異な作品世界に引き込んでいる。
全編に渡って施された「汚し」の塗装などから美術スタッフの膨大な作業量がうかがえ、おそらくは不確定要素も多い規模の大きい撮影現場での仕事ながら、クオリティが高く見ごたえのあるセットを完成させた努力を称賛したい。

【受賞コメント】
このような賞を頂けたことを大変光栄に存じます。ありがとうございます。

【プロフィール】
美術を担当した主な作品に
『リンダ リンダ リンダ』(05・山下敦弘監督)、『キャッチボール屋』(05・大崎章監督)、『たみおの幸せ』(08・岩松了監督)、『コドモのコドモ』(08・萩生田宏治監督)、『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(11・蔵方政俊監督)、『闇金ウシジマくん』(12・山口雅俊監督)
第45回日本アカデミー賞優秀美術賞受賞。

 

編集賞:『メタモルフォーゼの縁側』木村 悦子(きむら えつこ)

選定理由】
日常を描いた静かな作品ながら、繊細かつ大胆な編集で主人公二人のそれぞれの魅力を引き立て、17歳と75歳の友情を爽やかにまとめあげている。
じっくり見せたいシーンとあえて省略する部分、また二人それぞれのシーンバック(シーンの長さの配分)のバランスが素晴らしく、扱いの難しい漫画の紙面の挿入も上手い。映画に心地よい余韻を生み出しつつ、編集の存在を感じさせない、自然な仕上がりが見事であった。

【受賞コメント】
このたびは編集賞に選んでいただきありがとうございます。驚きました。狩山監督はじめこの作品に関わったみんなでいただけた賞だと思っています。この受賞で少し自信が持てました。これからもおごらず、その自信を持って精進していきます。

【プロフィール】
東京都出身。東京工芸大学卒業後、アクティブシネクラブ入社。2015年からフリーランス。
主な作品に、映画『そこのみにて光輝く』『きみはいい子』『星ガ丘ワンダーランド』『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』『ステップ』『青くて痛くて脆い』ドラマ「エール」「舞い上がれ!」「獄門島」など。

 

特別賞:武藤光成【株式会社アーク・システム取締役会長】

選定理由】
照明技師として、劇映画・テレビドラマ、CMなどで多くの経験を積み、1990年調布市内に撮影用照明機材会社を設立。海外の照明器具メーカーと日本向けのライトを開発するなど意欲的に事業を拡大した。この間、自社の花見に際し桜をライトアップしたところ好評を得て自主的に継続、満開の桜が野川の水面に映える景色は調布の春の風物詩となった。映画技術の力で市民に愛される催しをつくりだした功績は多大である。

【受賞コメント】
光の当て方で映像がこれほど変わるものか、照明に興味を持ち、好きで行ってきた仕事に対し、この度は映画のまち調布賞の特別賞をいただきまして大変光栄です。誠にありがとうございました。これからも、映画のまち調布シネマフェスティバルが調布に根付いた映画祭でありますよう願っております。また、映画、テレビCM等の撮影に興味のある方は、アーク・システムでテスト撮影もできます。その場を提供させていただきますので是非ご来社ください。

【プロフィール】
1964年、フリーの照明部として活動開始。
新東宝、国際放映、松竹、東映、大映などで数多くの映画、ドラマ撮影の照明助手として撮影現場に従事する。その作品には、『望郷の掟』「無用ノ介」「キイハンター」「青空に飛び出せ!」「コメットさん」等々多数。
その後、1990年に現場へもっと扱いやすい照明機材を提供したい、という信念で撮影用照明機材会社を設立。1998年には、冬季オリンピック長野大会競技のボブスレー、リュージュの照明を担当する。2002年からは各関係省庁の協力の下、一夜限りの野川夜桜ライトアップを開催し続け、現在に至る。

 

特別賞:宮本まさ江【衣裳・スタイリスト】

【選定理由
1985
年第一衣裳入社、フリーを経て調布市内に(株)ワード・ローブを立ち上げる。シナリオ・演出意図を読みこんだ的確な衣装・衣装デザインは高く評価され、大作から独立系映画まで幅広く活躍、テレビドラマ、舞台でも多くの作品を手がける。『夢二』(90)、『マークスの山』 (95)、『わたしのグランパ』(03)、『キングダム』(19)、『燃えよ剣』(21)など関わった映画は200本を超え、衣裳を通じて作品の世界観をつくり上げ、映画製作を支え続けている功績は大きい。

【受賞コメント】
最初は日活映画が好きで、日活の撮影所の第一衣裳から始まり、早何十年。。自分のルーツの場所の映画祭で賞をいただけること、とても有難く光栄に感じております。

【プロフィール】
1985年第一衣裳入社、フリーを経て調布市内に(株)ワード・ローブを立ち上げる。大作から独立系映画まで幅広く活躍、テレビドラマ、舞台でも多くの作品を手がける。
2013
年には日本アカデミー賞協会特別賞を受賞。近年の作品では、『検察側の罪人』(18)、『人魚の眠る家』(18)、『キングダム』(19)、『町田くんの世界』(19)、『新聞記者』(19)、『罪の声』(20)、『ヤクザと家族 The Family』(21)、『燃えよ剣』(21)、『キングダム2遙かなる大地へ』(22)、など関わった映画は200本を超える。