第8回映画のまち調布賞授賞式&『木挽町のあだ討ち』先行特別上映会レポート

第8回映画のまち調布賞授賞式

「第8回映画のまち調布賞」投票の対象となる作品は、202491日から2025831日までに、国内の商業映画劇場で、有料で公開された日本映画。今回の投票は2024年11月22日から2025年9月3日にわたって行い、1万1777票が集まった。そしてその中から「映画のまち調布シネマフェスティバル2026」内で上映可能な実写映画上位10作品をノミネート作品として、各賞の映画・映像に造詣(ぞうけい)が深い有識者による選考委員会で討議の上、受賞者が決定。そして作品賞は前述した投票第1位の作品へと贈られる。また、特別賞は「映画のまち調布」の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した個人、もしくは団体、または近年に、めざましい活躍をした映画、映像関係者に贈られることとなる。

撮影賞『正体』 川上智之氏 (代理:水木雄太氏)

撮影賞は映画『正体』の川上智之氏が受賞。代理でトロフィーを受けとったプロデューサーの水木雄太は川上の手紙を代読。「時間軸と共に物語の状況が常に変化していく中、それぞれが持っている変わらないものを映し出すという、撮影における表現が問われる作品」だったとし、「撮影監督として大きな節目になるような作品になった」と報告。さらに「映画のまち調布賞」での評価は大きな励みになると受賞を喜んでいた。

照明賞:『国宝』中村裕樹氏

照明賞は映画『国宝』の中村裕樹氏が受賞。『国宝』は「映画館で観るべき映画だとたくさんの人に愛された」と感謝し、「録音賞の白取さん、編集賞の今井さんと一緒に受賞できたことを心から喜んでいます」と笑顔を見せていた。

録音賞:『国宝』白取貢氏

録音賞は『国宝』の白取貢氏が受賞。「映画は1400万人に観ていただいている。日本人の10人に1人が観ている作品」とし、「そういう作品に参加できたことをうれしく思う」とコメント。続けて「日活や角川。調布を行ったり来たりする人間にとっては、ホームタウンと思っている調布ということで大変うれしいです」と喜びを語り、大きな拍手を浴びていた。

美術賞:『はたらく細胞』三浦真澄氏、濱田千裕氏(代理:田口生己)

美術賞は映画『はたらく細胞』の三浦真澄氏、濱田千裕氏が受賞。代理でトロフィーを受賞したプロデューサーの田口生己は「誰も見たことがない体の中のお話を実写映画でやる。ロケーション、美術など武内監督と話しながら作り上げるのはとても大変でしたが、見たことのない世界観を楽しんでいただいて、受賞できたことを光栄に思います」と挨拶し、作品に関わったスタッフ、キャスト、そして劇場で本作を鑑賞した観客への感謝の言葉を口にしていた。

編集賞:『国宝』今井剛氏

編集賞は『国宝』の今井剛氏が受賞。今井は『国宝』は昨年末から様々な賞を受賞していると前置きした上で、「編集賞は個人的には初めて。調布というまちも含めて、やっと映画の人に認められたような気がしている」と喜んでいた。続けて「『国宝』に参加できたこと自体がうれしかったし、すごく楽しく編集できた作品でもありました」と充実感を滲ませ話していた。

作品賞:『はたらく細胞』(登壇:武内英樹監督)

調布市民及びイオンシネマシアタス調布来場者による投票の結果、最上位となった作品に贈られる作品賞は、映画『はたらく細胞』が選出された。トロフィーを受け取った武内英樹監督は「10本くらい映画を作っているけれど、半分くらいは調布で撮影しています。Mede in CHOFUです。」と馴染みのある場所であることを明かし、笑いを誘う。『はたらく細胞』でも重要な「肛門のシーン」を撮影したと話し「そんな調布で受賞できたことは感無量です」と感謝しきりだった。

特別賞:江川悦子氏 (特殊メイクスーパーバイザー、株式会社メイクアップディメンションズ代表取締役社長)

「映画のまち調布」の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した個人・団体に贈られる「特別賞」は、特殊メイクという職種を国内の映像製作において欠かすことのできない重要な仕事の一つとして根付かせ、映像表現の発展に寄与した江川悦子氏が受賞した。受賞した江川氏は「思いがけず素晴らしい賞をいただけることに驚きと感謝の気持ちでいっぱいです」と笑顔。最近は現場で若いスタッフ・キャストと会うことも多く、名前を覚えるのが大変としながらも「定年はないので、しつこく長く続けていこうかなって思っています」と意気込みを語っていた。

『木挽町のあだ討ち』先行特別上映

受賞式後には、『木挽町のあだ討ち』トークショー付き先行特別上映会が開催され、源孝志監督と須藤泰司プロデューサーが登壇。観客に映画の見どころなどを伝えた。

原作との出会いについて須藤プロデューサーは「原作が出た頃に『江戸時代を舞台にした映画を作りたい』という話があって。時代劇プラスミステリーというスタイルにもトライしたいと思いました」と振り返る。本作は時代劇、ミステリー、そして歌舞伎といった要素が入っている作品。

源監督は“仇討ちは侍の美学”というイメージがあると前置きし、「美化するのではなく、そこに逆らってそれでも仇討ちとして成立させてあげよう」という気持ち、テーマが自身にあったと語る。原作者からは「社会に争う、自分たちの芸術の才能に争う人たちの話にしてほしい」というリクエストがあったとも補足していた。

柄本佑演じる主人公の加瀬総一郎は、あてがきだったそうで、須藤プロデューサーは「どんな人間かも分からない。つかみどころがない。それでいて人間的魅力がある。ピッタリだと思いました」とキャスティングの理由についても語っていた。

映画の見どころについて須藤プロデューサーは「時代劇が再注目されているというのもあるけれど、まずは映画として面白いかどうかが、大切だと思っています。ただ面白いだけでなく、明るく楽しい映画になりました」と話し、すでに予告で流れているシーンに触れ「女装姿が綺麗ですし、江戸のまちの再現性もすごい。江戸のまちがこんなに活き活きとしていて、人が住んでいたんだって思える。そういうところに注目してください」と呼びける。

源監督は「2時間観終わってスッキリして、気持ちいいね、気分いいねとなり、ちょっと映画の話をしようかとなるような作品の作り方をしています」と解説し、映画の後は調布の駅前のお店で飲みながら語ってほしいと呼びかけ、大きな拍手を浴びていた。