市内映画関連企業レポート:株式会社ダミーヘッドデザインズの仕事

株式会社ダミーヘッドデザインズとは、特殊メイクアップ・デザイナーの藤原カクセイさんが代表を務め、特殊メイクデザイン、キャラクターデザイン、造形製作などを行う会社です。
調布市内にあるアトリエで藤原カクセイさんにインタビューをし、その仕事の様子を紹介します。

職員:
具体的にはどんなお仕事をしていますか?

藤原さん:
映画撮影では、美術部(美術、装飾、小道具など)、衣裳部、ヘアメイク部などが技術的に出来ないことを一手に引き受けています。
例えば、
・水に濡れてもくずれないカツラ
・叩いても俳優が傷つかない金属バット
・実際には鉄で作られていないけど鉄に見える軽い甲冑
・おでこを拳銃で撃たれた表現
20歳の役者を80歳に見せる表現 など
特殊メイクや特殊造形の技術を駆使して、世の中に存在しないものを生み出し、映画撮影における様々な要望に応えています。
ちなみに、会社名の“ダミーヘッド”はダミー人形のこと。リアルな替え玉として使われるダミー人形は、特殊メイクと同じような工程を経て生まれるので、これは特殊メイクの仕事、これは特殊造形の仕事など、線引きは特に考えていません。

職員:
要望によって、培った経験から最善の方法を選んで仕事をされているのですね。
業務が多岐に渡っているようなので、大変なことも多そうです。

藤原さん:
撮影現場によって、依頼の内容は様々ですが、何でも屋さんになってしまう傾向があります。
例えば、基本的に血だしは操演部が行うのですが、人間から血をリアルに出したい時は人体構造の知識があるのでうちでやったりすることも。
撮影現場では、急な要望もあるので、そんな時はアイディアで乗り切っています。
この前は、メイクに使うものが足りなくなり、近くに来ていたカフェカーでココアの粉をもらい、撮影現場にあったお弁当のおかずからひじきとそぼろを混ぜてなんとかしたりしました。

職員:
すごいアイディア!食べ物も使うんですね。

藤原さん:
血のりを作るのにととろこんぶを使ったりもします。飲み屋にいくと、こんにゃくが内臓に使えそうだなとか、イカ墨も使ってみたいなとか、考えたりしています。

職員:
普段からアイディアを蓄えているんですね。仕事の喜びはどんなところで感じますか

藤原さん:
自分の仕事が写った画が長い時間使われると嬉しいです。例えば、ダミーで作った死体の顔がアップで使われていたりすると、そんなに写されるとダミーなのがばれてしまうんじゃないかと思う反面、そのシーンによって心が動かされたお客さんの反響を聞いたりできて、やって良かったなと思います。反対に、自分のした仕事が作品に使われず、その原因が自分の仕事のクオリティによるものだった時は悲しいです。

職員:
仕事で大切にしていることはなんでしょうか

藤原さん:
思いやりです。例えば、俳優さんのメイクは短時間で済ませる、使う素材も重いものより動きやすいものなど、なるべく不快な要素を取り除くようにこころがけています。

職員:
今後の展望は何かありますか?

藤原さん:
小学生の頃にゴジラなどの怪獣のおもちゃを自分で粘土を使ってつくってみたいと思ったことが、この職についたきっかけでした。その当時売られていたおもちゃの怪獣より、映画で実際に使われていた怪獣の造形の方がリアルで、それをおもちゃとして作ってみたかったんです。なので、おもちゃを作ることかな。あとタコス屋をやりたいですね。

職員:
最後にひとことメッセージをお願いします

藤原さん:
映画撮影では各部署がんばっていますので、作り物かどうかはあまり気にせずに、映画を楽しんでください。

 

 

 

 

 

 


株式会社ダミーヘッドデザインズ 基本情報
特殊メイクアップ・アーティストの藤原カクセイが代表を務め、特殊メイクデザイン、キャラクターデザイン、造形製作などを行う会社。アナログからデジタルまで、それぞれ培った技術と類稀なアイディアとセンスで、この世に存在しないものを形づくっている。https://www.dummy-head.net/

藤原カクセイ(特殊メイクアップ・デザイナー) プロフィール 
京都府出身。特殊メイクデザイン&クリエイトスタジオ 株式会社ダミーヘッドデザインズ代表取締役。
特殊メイクデザインと特殊造形、キャラクターデザイン製作などで様々な映像作品、イベントなどに参加。主な参加作品に『座頭市』、『寄生獣』、『アイアムアヒーロー』。近作は『キングダム』、『MINAMATA』、『今際の国のアリス』、『孤狼の血 LEVEL2』、『キングダム2』、『シン・仮面ライダー』などがある。